Illustrator CS2でブラックのアピアランス
Adobe CS2【完了】
項目は2つに分かれてまして、1つは「スクリーン」。もう1つは「プリント/書き出し」。そしてそれぞれ「ブラックを正確に表示(出力)」と「ブラックをリッチブラックで表示(出力)」の2つの設定項目があります。

こんな画面です(でかいので縮小してます)。
●スクリーン:ブラックを正確に表示
全てのブラックを正確に表示すると、純粋なブラック(K100)とリッチブラック(CMYKカラーを混ぜて作成したブラック)がドキュメントで指定されているとおりに表示されます。このオプションは、Photoshopと同じようにブラックを表示します。
●スクリーン:ブラックをリッチブラックで表示
全てのブラックをリッチブラックとして表示すると、純粋なブラック(K100%)とリッチブラック(CMYKカラーを混ぜて作成したブラック)がリッチブラックとして表示されます。このオプションは、ドキュメントのカラー値を変更しませんが、全てのブラックは可能な限り暗く表示されます。
●プリント/書き出し:ブラックを正確に出力
RGBおよびグレースケールデバイスで全てのブラックを正確に出力すると、純粋なブラック(K100%)とリッチブラック(CMYKカラーを混ぜて作成したブラック)がドキュメントで指定されているとおりに出力されます。このオプションは、Photoshopと同じようにブラックを出力します。
●プリント/書き出し:ブラックをリッチブラックで出力
RGBおよびグレースケールデバイスですべてのブラックをリッチブラックとして出力すると、純粋なブラック(K100%)とリッチブラック(CMYKカラーを混ぜて作成したブラック)は共にリッチブラックとして出力されます。ドキュメントのカラー値が変更されることはありませんが、RGBデバイス上ですべてのブラックは可能な限り暗く表示されます。
実際に、どう変わるか試してみました。CMYKモードなファイルを新規作成し、K100の四角形を描きます。そして設定を変えてみて、どう変わるかをやってみました。
まずは「ブラックを正確に表示」にすると

こんなです。
次に「ブラックをリッチブラックで表示」にすると、

こんなです。
上2つのキャプチャ中の四角形をよ~~~く見ると、色が微妙に違ってるのが分かるかと思います。
Photoshop上でRGB値を測定してみると、
ブラックを正確に表示の場合、R=27 B=19 G=17
ブラックをリッチブラックで表示の場合、R=0 B=0 G=0
となりました(カラー設定により異なりますので参考程度に)。
確かに変化ありです。たぶんおそらく、K100をどう表示(または出力)するかってことだと思われます。
以上のことを踏まえて考察すると、
K100のみが変わる?
K99だとどっちも同じ色?
という疑問が湧いてきました。
ということで、K0からK100のグラデーションと、10%刻みで増えていく四角形を追加して検証してみました。
まずは「ブラックを正確に表示」

こんな感じ。
次に「ブラックをリッチブラックで表示」にすると、

こんな感じ。こんなんじゃ、違いワカリマセン。
なので、上2つのキャプチャをPhotoshop上で「差の絶対値」で合成した上で、画像を反転させて、色が濃くなるように調整して、わかりやすくしたのがコレです。

K90までは間違いなく変化してます。K80では全く同じRGB値でした。さらに精査した結果K89から変化しているようでした。
ということで、ブラックのアピアランスはK89%以上が変化します。ただし、その境目はカラー設定により変わります。
以上のことから、CLさんと笹川さんよりアドバイスをいただきました。
●この機能はオーバープリントプレビューの時に役立つかもしれない。
●K100をRGB=0で処理することにより、非PSプリンタでも墨文字が黒くプリントアウトされるようになるためのものかもしれない。
これを手がかりにさらに実験してみました。
まずは、適当にオブジェクト作成。

その上にK100のオブジェクトを重ねます。属性パレットにて「塗りにオーバープリント」のチェックを入れたオブジェクトです。「表示」メニューから「オーバープリントプレビュー」にチェックを入れます。

これで準備完了。あとは「ブラックのアピアランス」の設定を変えて、見え方が変わるか調べてみます。
「ブラックのアピアランス」にて「ブラックをリッチブラックで表示」を選んだ場合。

真っ黒です。オーバープリントはプレビューされてません。RGB=0で表示するんだから当然の結果ですけど。
次に「ブラックのアピアランス」にて「ブラックを正確に表示」選んだ場合。

うっすらと、下のオブジェクトが見えてます。
ちゃんとオーバープリントプレビューできてます。K100といっても、真っ黒なわけじゃないということも含めて、「ブラックを正確に表示」という表現は間違いじゃないみたいです。
ということで、「ブラックのアピアランス」での設定はオーバープリントプレビューに影響を及ぼすことが分かりました。
このオーバープリントプレビューは以前のバージョンにも搭載されてまして、ついでだから10とCSでも試してみました。
Illustrator CSでオーバープリントプレビュー。

お?
Illustrator 10でオーバープリントプレビュー。

お?
え?
なにが、「え?」かというと、10、CS、CS2のオーバープリントプレビュー機能の結果が全く一緒だったんです。RGBの各数値を比較しても全く一緒でした。それでいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、それはそれでいいんです。
でも、結果が一緒ということは「ブラックを正確に表示」とは以前のバージョンと同じ設定のものであるということであり、むしろ追加されたのは「ブラックをリッチブラックで表示」の方ということになります。つまり、検証すべきは「ブラックをリッチブラックで表示」の方だったとハタと気付きました。
そんなわけで、非PSプリンタの出力実験です。
「ブラックを正確に出力」と「ブラックをリッチブラックで出力」の設定の違いがプリントアウトに影響するのかどうかを調べてみました。プリントアウトの際にブリントダイアログで「オーバープリント」は「シミュレート」を選択してます。

結果。
「ブラックを正確に出力」ではオーバープリントも再現されて出力されました。
「ブラックをリッチブラックで出力」にすると、オーバープリントは再現されませんでしたが、文字はちゃんと黒!
どのぐらい黒いかはプリンタや、出力の際の設定によって変わると思いますが、「ブラックを正確に出力」では明らかに黒以外のインクが目立つのにくらべて、「ブラックをリッチブラックで出力」の場合、文字もちゃんと黒いです。
ということで、まとめると
「ブラックを正確に表示(出力)」は以前のバージョンと同じ表示方法。
「ブラックをリッチブラックで表示(出力)」は非PSプリンタ向けの、黒がちゃんと黒になる改善的追加機能。ただし、K100オブジェクトのオーバープリントプレビューはその原理ゆえに動作しない。
こんな感じの機能でした。
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