
Data Rescue IIでフルスキャンを試してみました。
Data Rescue IIによるファイル復旧の手順は、まず「クイックスキャン」から。それでダメなときは「フルスキャン」。
それはなぜか…。スキャン時間が全然違うから。
今回検証するフルスキャンは、それなりに時間がかかります。場合によっては、ものすごく時間がかかります。状況によっては、怖いくらい時間がかかります。
目安としてハードディスクが正常なら『3分/GB』ぐらい。1GBあたり3分…。
ハードディスクが物理的障害を起こしていると、全くの未知数になります。
ハードディスクの容量が100GB、200GBが当たり前な昨今、正常動作していてもそれなりに時間がかかります。『3分/GB』だとすると、100GBで5時間。200GBで10時間。500GBで……考えたくもない。ただ、実感ベースで言うと『3分/GB』よりも、ずっと早いような気がします。
さてさて、検証です。エキスパートモードで行いました。
(フルスキャン クイックスキャンでファイルを発見できなかった場合、フルスキャンを試してみて下さい。スキャン方法の詳細は、ユーザーマニュアルをご覧ください。フルスキャンは、通常、ギガバイト当り約3分かかりますが、デバイスにハードウエア障害があると、所要時間は大幅に増えることがあります。数日間にわたるスキャン作業の末、ファイル復旧に成功したというユーザーもあります。)ハイ、最後の方に何か末恐ろしいことも書いてありますが、気にしない方向で…。
それから、たとえダメなように見えてもあきらめないことが大切であると同時に、あきらめることも大切です。
その辺の判断は、ハードディスクの状態によります。
判断の基準は、ハードディスクが正常に動いてる感じがするかどうか。
物理的に障害を抱えていても、Data Rescue IIは頑張ってくれます。詳しいアルゴリズムは分かりませんが、何度かアクセスにトライしてダメだったら、次のブロックへ…という作業をやっているような感じがします。なので、物理的に障害を抱えている領域を過ぎれば、スムーズに進行していったりします。
あきらめた方がいい状況としては、ハードディスクが明らかに動いていないとき、明らかに動作がおかしすぎるとき。
ハードディスクが動いてくれない限りはデータの復旧は望めません。
それに、時間がかかりすぎる場合、必要とするデータが再作成可能なら作り直した方が早いってこともあります。そういうときはスパッとあきらめて作業に取りかかった方がいいです…、絶対。
スキャン開始ボタンを押すとブロック単位でのファイル検索が行われます。

ブロックって何かといいますと、ハードディスク内はだいたい512バイト毎に区切りのようなものがあります。その1つ1つをブロックと呼んでます。
フルスキャンの場合、すべてのブロックにアクセスしてデータを検索します。ゆえに、時間がかかる…と。
ここは気長に待つしかないです。
そして、ブロックスキャンが終わると、検索できたデータの後処理が始まります。その模様をキャプチャしてみました。いくつかキャプチャし損ねましたけど。

(CBRデータをポストプロセス中)
↓

(スキャニングデータを通し、イニシャルパス)
↓

(重複ノードを削除中)
↓

(重複ノードIDを計算)
↓

(重複ノードIDの番号を付け替え中)
↓

ノードIDでキーを並べ替えています、パス 1)
↓

(孤児ノードを探しています)
↓

(親ノードIDと名前でキーを並べ替えています、パス 1)
↓

(親インデックスを追加中、pass 1)
↓

(一致した名前)
↓

(カタログスタートエレメントを並べ替えています、パス 3)
↓

(スキャンサマリーを取得中...)
以上で検索作業は完了になります。とにかくお疲れ様…。
検索結果が表示されます。

見ると、ルートフォルダである「PIYO HD4」以外にも、「CBR」と「孤児フォルダ」というフォルダがあります。
まずはルートフォルダである「PIYO HD4」を見ていきます。

クイックスキャンの結果と同じように見えますが、フルスキャンとクイックスキャンでは方法が異なってます。
クイックスキャンでは、カタログ情報にアクセスしてファイルを見つけます。前提としてカタログ情報が正常である必要があります。
カタログ情報というのは、複数あってリンクしあっているものです。そのカタログ同士のリンク情報が壊れていると、クイックスキャンではデータが見つかりません。
フルスキャンでは、ハードディスクのすべての領域にアクセスしてファイルを検索するので、リンク情報が失われ、アクセスできなかったカタログ情報を発見することがあります。そこがクイックスキャンとの大きな違いです。発見したカタログ情報を元にデータを復旧させることが可能になるので、復旧確率が格段に違います。時間も…ですけど。
次に「CBR」フォルダの中身を。

「Audio」「Documents」、「Images」、「Mail」、「Movies」、「その他」、「アーカイブ」、「イメージ」、「動画」、「文書」、「音声」などのフォルダがあります。
この「CBR」というフォルダ。Data Rescue IIがもつ「コンテンツスキャン」という手法で検索されたファイルが納められる場所です。
フルスキャンを行った場合、見つかったファイルはカタログ情報を参照していないので、何のファイルなのかワカリマセン。分かるのは、そこにデータがあるという事実だけです。
それを、どんなファイルなのかを判断して仕分けてくれるのが「コンテンツスキャン」です。フルスキャンを実行すると、同時にコンテンツスキャンを行ってくれるようになってます。
それぞれのフォルダの中は、もっと細かく分類されていて、その中にファイルが入っています。ファイル名も不明になるので、Data Rescue IIが適当な連番をふってくれています。
最後に「孤児フォルダ」。

このフォルダ内にあるのは、ファイルは見つかったけど、どこの場所にあったのか分からないファイル達です。
親となるフォルダが分からないので、孤児……なのかどうかはワカリマセンが、住所不定なファイルです。
必要なファイルがあったら、チェックをつけて復旧となります。
指定したファイルを個別に復旧することも可能だし、全部も可能です。
復旧されたファイルの保存は、上のキャプチャと同じ構造で配置されます。一度ファイルを復旧して、もう一度別のファイルを復旧する場合、前のファイルは消されることはありません。ちゃんと追加という形で復旧してくれます。
全部復旧をやってみてうまくいかなかった場合、ちょっとずつ復旧という方法に切り替えても大丈夫です。
フルスキャンは時間はかかりますが、復旧精度はクイックスキャンと比べてすごく高くなってますので、あきらめずやってみる価値は絶対あります。